仕事観。私が誰かに何かをする時に、大切にしたいこと。仕事の学校は、対話を通じて1人ひとりの仕事観を吟味していく時間と場です。

仕事の学校とは

仕事力の前に、仕事観

仕事の学校は2007年夏に高校生を対象にスタートしました。
それから少しずつ発展し、2009年からは社会人・大学生を対象にした活動にも取り組んでいます。

今年のテーマは、「仕事力の前に、仕事観」です。

本屋に行けば、「○○力」という言葉が溢れています。
学校でも、会社でも「力」が求められています。
子どもは学力、大人は仕事力。そして子どもも大人も生きる力。
多くの人が力をつけようと必死になっています。

そう、今や「力」の時代。
力があれば、強くなれる。強くなれば、勝てる。負けない。負けずに勝てば、幸せになれる。
でも、本当にそうでしょうか?「力」だけを身に付ければ、幸せになるのでしょうか。
「力」を身に付けた人が増えれば、この世の中はよくなるのでしょうか。

例えば、プレゼンテーション力。
自分自身が伝えたいことを、伝えたい相手に、伝えたいように、伝えることができる力。
とても大切です。この力があれば、いろいろな場面で役立ちます。
でも、その力を、人を騙すために使うこともできるし、実際、そうしている人もいるでしょう。
例えば、論理的思考力。複雑なことを単純化・構造化できる力。これも大切。
論理的に考えれば、効果的で効率的な正しい答えを導き出すことができます。
でも、時には論理的にはそうだけど、「そうじゃない」と自分の心がざわつく。
そんな時には、論理よりも自分の心の声に耳を傾けたいと僕は思うのです。

人生観、世界観、仕事観、結婚観、教育観...。
こういったことのおおもとは、その人が「大切にしたいこと」だと思います。
「観」、つまり、自分が大切にしたいこと。
仕事の学校は、「力」の前にもっとこの「観」を取り扱い、一人ひとりの「大切にしたいこと」を、
対話を通じて確かめる時間と場をつくっていきます。
厳しい経済情勢の中、すぐに効く「○○力」を求めがちですが、
その前に、ぜひ自分自身の中の「観のための時間」を持ってみませんか。

世の中をもっとよくしたい、もっといい社会にしたい

結果としての仕事に働き方の内実が含まれるのなら、「働き方」が変わることによって、世界が変わる可能性もあるのではないか。 この世界は一人一人の小さな「仕事」の累積なのだから、世界が変わる方法はどこか余所ではなく、じつは一人一人の手元にある。 西村佳哲(2003)『自分の仕事をつくる』 晶文社

これは、わたしたちが、「仕事の学校」を開催するにあたって、大きく影響を受けた一冊の本のプロローグです。世の中をよくしたい、もっといい社会にしたい。わたしたちは心の底からそう思っています。西村佳哲さんが書いているように、一人ひとりの働き方が変わることで、世界が変わると信じています。働き方が変わる一つの方法が、中高生のうちに実際に働いている大人の仕事観に出会い、自分自身の仕事観を考えてみることであると強く思っています。そしてそのことは、参加者だけではなく、わたしたちスタッフをはじめ、何らかの形で仕事の学校を知った多くの大人たちに、それぞれの「働き方」や「仕事観」を見直すきっかけを提供することでもあります。小さな一歩ではありますが、未来につながる力強い一歩。それがこの仕事の学校に込める思いです。

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