仕事観。私が誰かに何かをする時に、大切にしたいこと。仕事の学校は、対話を通じて1人ひとりの仕事観を吟味していく時間と場です。
これまでの体験を徹底的に話し、書き、とにかくアウトプットすることに1日を使った。この日のワークショップの進行には、3日目の講師である西村佳哲さんの進行方法を大いに参考にさせて頂いた。
9時30分、まずは2回の仕事体験の振り返り。 3日目に決めた各班3つずつの確認事項についてまとめる。最初に、10分間で一人ずつが整理する。次に、班でのディスカッションを30分。班での発表練習を10分間、班ごとの発表5分、それに対する質問を5分。まとめの視点、発表のレベル、質疑応答の質、すべてが初日よりもレベルアップしていることを参加者自身も実感していることがわかる。
この様子をご覧になっていた大葉ナナコさんに、11時から講演をして頂く。「幸福を産み出す仕事」というテーマで学ぶ。「オレも子どもを産みたくなった」という男子の感想もあり。
昼食は庭で流し素麺。大学生スタッフ中心に、宿舎の職員の東海林さんの大活躍もあり、見事な流し素麺会場が設営される。すっかり人間関係ができた参加者は、思う存分、夏の一時を過ごした。
13時30分、ワークショップ。「2050年にどんな自分になっていたいか、どんな社会になっていてほしいか」を15分間、ワークシートに書く。その後、5年後、つまり2012年にどんな自分になっていたいか、どんな社会になっていてほしいかを同じようにワークシートに15分間書く。「将来のこと」というと、自分のことだけになりがちだが、しっかりと社会のことも考えていくことを大切にしている。また、まず、43年後という遠い将来を考え、次に5年後という近い将来を考えることで、今の延長線上ではない自分の将来を発見することができる。ワークシートに記入後は、以下の形式で互いの「2050年の自分と社会」「2012年の自分と社会」についてシェアを行った。
全員で二重の円をつくる。向かい合わせになり、外側の人(Aさん)が4分間話す。Bさんは聞き役。次に、Bさんが4分間話し、Aさんは聞き役。終了したら、外側の人だけが一つ移動し、別な人と同じことを繰り返す。これを5回繰り返す。
当然のことながら5回、まったく同じ話ができるわけではなく、少しずつそれが変化してくる。何度も将来の自分と社会について話すと同時に、5人分の他人の考える自分と社会について聞くことで、少しずつ将来の自分と社会がより鮮明に見えてくる。終了後は、「こんなに自分の将来、社会の将来を繰り返し話すのは初めて」という感想があちこちで聞こえてきた。
休憩後、いよいよこの仕事の学校のテーマである「わたしにとって仕事とは何か」について取り組む。まずは、5日間をスライドで振り返り、これまでに記入したワークシートをすべて各自に返却する。返却されたワークシートを、各自が、じーっと20分間ただ見返す。
休憩後、机と椅子を右図のように並び替え、それぞれが壁に向かえるようにし、「あなたにとって、仕事とは何ですか?あなたは、何のために仕事をしますか?」というテーマでA4のワークシートに自由に書いていく。時間は90分間。これまで自分が話したこと、聞いたこと、書いてきたこと、体験したことを振り返りながら、悩みながらも黙々と書いていく。おしゃべりもなく、とにかく静かに時間が進む。集中度が高く、咳ばらいするのも気を使う。希望者は、各班の担任と別室で個別相談。約半数が相談しながら、自分の考えをまとめた。このような形で「わたしにとって仕事とは何か?何のために仕事をするのか?」について書いたものが、実施報告書31ページ以降に掲載したものである。90分間が終わると、「疲れたー」の声と同じくらい、「時間が足りなかった」「まさかこんなに長い時間、自分が何かを書けるとは思わなかった」などの驚きの声があがった。それぞれの表情に充実感がみなぎっていた。
このメンバーで食べる夕食もこの日が最後。気になる女子の近くの席に座ろうと頑張る男子の姿もちらほら。
夕食後は、5日間の自分自身を振り返るワークショップ「わたしの変化」。いつものようにA4用紙が配布される。まずは10分間、「変わったこと、気づいたこと」を書く。次に同じく10分間、「変わらなかったこと、わからないこと」を書く。3日目くらいからだろうか、こうして書いている時間は、おしゃべりはもちろん、周りの様子を気にすることもなく、集中し黙々と紙にペンを走らせている。そして各班で以下の図のように参加者がお互いの書いたことを話し、聞き、フィードバックし、それを書き留める。これは3日目の西村さんのワークショップで学んだ手法だ。
まずはAさんが7分間、書いたものを元に「今のわたし」というテーマで話す。他の班のメンバーは黙ってそれを聞く。7分間一人で話すというのは大人でも結構つらい。7分間が経過したら、今度は今まで黙って聞いていた他のメンバーが、Aさんの話したことについて感想や意見を言う。「Aって最初はなんかしらけてなかった?」「3日目くらいからがんばってたよね。」「いいやつだよ、ほんと。」「仕事の学校終わってからも、がんばってほしいよなあ。」など、5日間一緒に学んだからこそ、素直な言葉が次々に出てくる。この間、Aさんは後ろ向きになり、黙って言われたことをメモする。これを班の人数分繰り返す。今回は5人で行ったので、約1時間これを行ったことになる。自分のことを素直に話し、それについてフィードバックをもらうという経験は、きっと彼ら彼女らにとって貴重な時間になっただろう。
10分間の休憩後、机の配置をロの字型にして座る。A3の白い紙が配られる。初日の頃は、白い紙が配られると「何を書かされるんだろう」と不安そうだった参加者も、この頃になると自分の頭で考えて書くことになれている。今回のテーマは「今のわたし」。時間は20分間。その後、これまた3日目の西村さんのワークショップの時にやったように、左隣の人に自分の書いたものを渡す。自分の手元には右隣の人が書いた「今のわたし」がある。2分間の時間で余白にメッセージを書く。これを人数分繰り返す。最後には、自分の手元に自分以外の参加者からのメッセージがたくさん書かれている。これを5分間じっと見つめる。微笑みながらも見つめる目は真剣。21時30分終了予定を大幅に延長して22時10分過ぎ終了。
実施報告書49ページ以降に掲載したものが、この日の最後に書いた「今のわたし」である。但し、他のメンバーからのメッセージは省略している。