第3回 仕事インタビュー 宇佐見 千絵さん(3)
就職活動 - 親と話すようになって見えた「こだわり」
うちの実家は北海道で家具を作るメーカーをやっているんですけど、高校まではどんな商品を作っているのか知らなかったし、ましてや工場にも行ったことすらなかった。でも年齢を重ねるにつれて親と色んな話ができるようになると、徐々に自分の家のこと、仕事として製作している家具のことに興味を持つようになっていきましたね。親とじっくり会話をするようになると、気が付いたら家具の販売員になりたいと思っていました。そしていざ就職活動をする時には、家具を取り扱っている今の会社一社しか受けませんでした。
家具販売とはいっても、私はリビングダイニング部門で働きたかった。リビングダイニングは「家具界の花形」って言われてるところなんですけど、自分にはどうしてもそこで働くというこだわりがあって、そこ以外では働きたくなかったんです。だから面接のときに会社の人からは「どこの部門になるかは分かりません」って言われてたんですけど、「リビングダイニングに入れなければ、採用してもらわなくても結構です」って言っちゃったんですね。社員の方を含めて周りの人は当然「えっ?」て感じですよ(笑)。普通は「どこでも入れればいいじゃん」って思うかもしれないんですけど、もしそれで入社したとして、やっぱり自分が納得いかなくて一ヶ月で辞めてしまったら、それこそ会社に迷惑がかかるなって思ったんです。
結果内定をもらい、希望していた念願のリビングダイニングに採用されました。先にも述べましたが、その一社しか受けなかったので、かなり変わった就職活動でしたね。でも「もし採用されなかったらどうしよう」ってことは考えずに、腹をくくっていたのがよかったと思います。その意気込みみたいなものも社員の方に伝わったかもしれませんね。
販売員としてのやりがい、そして今後 ― 一番うれしかった指名買い
そろそろ終わりにしましょうか、随分長くなってしまったので(笑)。
やっぱり私はしゃべることが好きなんでしょうね、それが接客業をしたいと思いにつながって、今の仕事をしているのだと思います。でもただしゃべるだけじゃなくて、私がしゃべることによって、お客様が知らなかったことを少しでも伝えたいなーって思いますね。お客様がすでに知っていることを伝えるだけでは意味はありません。いかにお客様が知らなかった情報を伝えることができて、その商品をすごいと思ってもらえるか。その結果、喜んでもらえたら嬉しいですね。
家具の販売員をやっていて一番嬉しかったことっていうのは私を指名してきてくれたお客様がいたことかな。「宇佐見さんがいるから来たよ」とか「宇佐見さんがいたから買おうと思った」っていう風に、指名買いして下さることがあったんです。私の接客、商品に関する話がお客様に伝わったからだと思うんですが、そのときは本当に嬉しかったですね。
今の仕事に対してはすごくプラス思考になれることが多くて、上司から怒られることも嬉しいって思えるんですよ。高校の頃の新体操でも「怒られないようになったら終わりだ」ってよく言われましたけど、怒ってくれるっていうことは私のことを見てくれていることだと思うんです。仕事に対するやる気が無い人は怒られると「なんやねん」って不満に思うかもしれないけど、それを「ありがとうございます」って言えることは違いが出てくると思うんですよね。仕事に対するやる気の問題はあると思うんですが、やっぱりものごとを前向きに考えられるプラス志向っていうのは大切だと思うし、それを高校時代に身につけられたっていうのは大きいと思います。
あとはお客様に難しいことを聞かれて、笑ってごまかす販売員にだけはなりたくないって思っています。分からないことがあったときは、素直に「すみませんでした。勉強不足なので勉強しておきます」って素直に答えるようにしていますし、これからもそれは貫きたい。商品について知らないっていうのは、やっぱり恥だと思いますし、できればそんなこと言いたくないですよね。ただ一回恥をかいてしまったら、今度は二度とないようにその商品について調べ尽くすこともできるわけです。次にたずねられた時に、自信を持って答えられるようになる。だから恥をかくときはしっかりかいて、いろんな商品に関する「プロ」になっていきたいですね。
今後のこととしては、まずは今の仕事をもっと頑張っていきたいと思っています。そして将来は家具やインテリア雑貨を扱う自分のお店を持ちたいっていう思いがあります。まだまだ勉強不足な部分がたくさんあるので、もっともっと商品に関する知識を得たいですね。あとはまだ社会人二年目なので、もっと社会に慣れていきたいです。分からないことばかりなので、世間について、社会についてももっと学んでいきたい。接客を通してお客様について学びながら、広く仕事の場についても学んでいきたい。そう思っています。
